1. 背景

2017年2月頃に、米国のFDAで皮膚殺菌薬「クロルヘキシジングルコン酸塩」関する注意喚起(まれに発現する重篤なアレルギー反応について)を受けて、2017年10月には日本でもクロルヘキシジンの注意喚起を行う通知が厚生労働省から出されました。通知を出すにあたり、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構が国内調査を行いました。その調査結果は次の通りです。
「口腔内適応を有するクロルヘキシジングルコン酸塩含有製剤については、ショックの国内症例が報告されたことを受け、平成15 年の改訂指示通知により、ショック(アナフィラキシー)に関する注意喚起が行われた。今般、平成29 年2 月に米国においてOTC(over-the-counter:医師の処方箋がなくてもドラッグストアや薬局で直接購入できる医薬品のとこ)のクロルヘキシジングルコン酸塩含有皮膚消毒剤に係る重篤なアレルギー反応に関する注意喚起の措置がとられ、医療用医薬品及び一般用医薬品の添付文書を改訂することから、専門委員の意見も踏まえた調査の結果、医薬部外品の使用上の注意についても同様に改訂することが適切と判断した。」 直近 3 年度の国内副作用症例の集積状況は、
<ショック、アナフィラキシー関連症例>
① クロルヘキシジングルコン酸塩 1例(うち、因果関係が否定できない症例0例)
② クロルヘキシジン塩酸塩 なし

また、弊社のクロルヘキシジン塩酸塩を含む医薬部外品の歯磨剤で上記の症例は報告されておりません。というのは、クロルヘキシジン塩酸塩はクロルヘキシジングルコン酸塩に比べて溶解度が低く(約400分の1)消毒に必要な有効濃度に達しないため、皮膚殺菌薬として使われていないものと思われます。これが今までクロルヘキシジン塩酸塩でショック症状が見られなかった要因かもしれない。

「クロルヘキシジンを有効成分として含有する医薬部外品」として、弊社の次の製品を販売しております。つきましては、お知らせの注意事項に該当しないかご確認の上、弊社の製品をこれからも変わりなくご愛用頂けるようお願い申し上げます。

2.該当する製品

(1) コスミオンP
(2) コスミオンJ

3. 追加された注意事項の改訂内容

(1) 本剤又は本剤の成分、クロルヘキシジンによりアレルギー症状を起こしたことがある人は使用しないでください。
(2) まれにショック(アナフィラキシー)の重篤な症状が起こることがあります。使用後すぐに、じんましん、息苦しさ、意識の混濁等があらわれた場合には直ちに使用を中止し、医師の診療を受けてください。特に、薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある人は、使用前に医師等に相談するなど十分に注意して使用してください。 以上

※医療関係者向け資料
補足資料:医薬品安全性情報Vol.15 No.06(2017/03/23)より
以下の米FDA報告はクロルヘキジジングルコン酸塩(グルゴン酸クロルヘキシジン)に関するもので、クロルヘキシジン塩酸塩(塩酸クロルヘキシジン)は米国では使用実績がないのでこれに関連する報告はない。

【 米FDA 】
•皮膚殺菌薬クロルヘキジジングルコン酸塩:まれに発現する重篤なアレルギー反応についてFDAが警告
(抜粋)
◆MedWatch Safety Information
◇要 約
FDAは,広く用いられているクロルヘキジジングルコン酸塩含有皮膚消毒薬について,その使用に伴い,まれではあるが重篤なアレルギー反応が報告されていることに,注意を喚起する。クロルヘキジジングルコン酸塩含有皮膚消毒薬への重篤なアレルギー反応はまれではあるが,この数年,報告件数が増加している(「データの要約」を参照)。
そのためFDAは,クロルヘキジジングルコン酸塩含有消毒薬のOTC製品の製造業者に対し,製品表示のDrug Facts(添付文書、使用上の注意)にこのリスクに関する警告を追加するよう要請している。

◇ ◇ ◇
◇背 景
クロルヘキジジングルコン酸塩は,皮膚感染を引き起こすおそれのある細菌を除去するため,外科手術前および注射前の皮膚の清拭と消毒に用いられており,主にOTC製品として販売されている。クロルヘキジジングルコン酸塩含有製品には,溶液,洗浄液,スポンジ,綿棒などがあり,ジェネリック製品を含め,数多くの商品名で販売されている。また,クロルヘキジジングルコン酸塩は,歯肉炎治療用のマウスウォッシュおよび歯周病治療用のオーラルチップ(歯肉と歯の間に挿入して使用する小片状の薬剤(訳注))の処方箋薬としても,販売されている。
処方箋薬としてのクロルヘキジジングルコン酸塩含有の歯肉疾患治療用マウスウォッシュおよびオーラルチップについては,その製品表示に,重篤なアレルギー反応が起こり得るという警告が既に記載されている。
FDAは1998年に,ドレッシング(創傷被覆材),静脈ラインなど,クロルヘキジジングルコン酸塩含有の医療機器の使用による重篤なアレルギー反応のリスクに関して医療従事者に警告するため,Public Health Notice(公衆衛生通知)を発行した。(同様の医療機器の通知は日本でも出されています(スモカ注))

◇勧 告
医療従事者はクロルヘキジジングルコン酸塩製品を推奨または処方する前に必ず,消毒薬の使用時にアレルギー反応が起こったことがあるか患者に訊ねるべきである。消毒薬の使用時にアレルギー反応の症状が現れた場合,直ちに医師の診察を受けるよう,患者に助言すること。過去にクロルヘキジジングルコン酸塩へのアレルギーが起こった記録がある,または起こった疑いがある場合,別の消毒薬〔povidone-iodine,アルコール,benzalkonium chloride,benzethonium chloride,parachlorometaxylenol(PCMX)など〕の使用を検討すること。
患者および消費者は,重篤なアレルギー反応の症状が発現した場合,直ちにクロルヘキジジングルコン酸塩含有製品の使用を中止し,医師の診察を受けるか,または救急車を呼ぶべきである。これらの反応は,曝露後数分以内に起こる可能性がある。症状には,喘鳴または呼吸困難,顔面腫脹,急速に重篤化することがある蕁麻疹,重度の発疹,ショック(血流低下により生命が脅かされる症状)などがある。

◆Drug Safety Communication
◇データの要約
FDAは,FDA有害事象報告システム(FAERS)データベース,医学文献,および全国傷害電子監視システム-医薬品有害事象共同監視(NEISS-CADES)のデータで,クロルヘキジジングルコン酸塩含有外用製品の使用に伴うアナフィラキシー反応の症例報告を検索した。
FDAは,1969年1月1日~2015年6月4日の期間にFAERSに報告された,クロルヘキジジングルコン酸塩含有外用製品の使用に伴うアナフィラキシー反応の症例を世界全体で43例特定した。このうち24例は,2010年以降に報告されていた。すべての症例が重篤例であり,26例は生命を脅かす転帰に至ったと報告され,12例は入院を要し,2例はアナフィラキシー反応のため死亡していた。43例中39例で,皮膚,呼吸器,または胃腸のいずれかのアレルギー症状に伴う低血圧が報告されていた。12例で,ヒスタミンまたはトリプターゼの上昇が報告されていた。全43例で,クロルヘキジジングルコン酸塩含有製品の使用との間に時間的関連がみられた。全症例で,製品を使用した当日に反応が起こったと報告されており,7例ではアレルギーについてpositive rechallenge(ポジティブ・リチャレンジ:薬剤の使用再開後に有害反応が再発すること(訳注))が報告されていた。 1971~2015年の医学文献を検索した結果,クロルヘキジジングルコン酸塩含有外用製品に伴うアナフィラキシー反応の症例で,FAERSに報告されていなかったものが,8例特定された1-3)。2004~2013年のNEISS-CADESデータの検索から,アナフィラキシーが1例見出されたが,これはクリニックでクロルヘキジジングルコン酸塩含有外用液による清拭後に重度の反応を起こした11歳の男児での症例であった。

文 献
1) Torricelli R, Wüthrich B. Life-threatening anaphylactic shock due to skin application of chlorhexidine. Clin Exp Allergy 1996;26:112.
2) Conraads VM, Jorens PG, Ebo DG, Claeys MJ, Bosmans JM, Vrints CJ. Coronary artery spasm complicating anaphylaxis secondary to skin disinfectant. Chest 1998;113:1417-9.
3) Okano M, Nomura M, Hata S, Okada N, Sato K, Kitano Y, et al. Anaphylactic symptoms due to chlorhexidine gluconate. Arch Dermatol 1989;125:50-2.

薬剤情報
◎Chlorhexidine〔クロルヘキシジン塩酸塩(塩酸クロルヘキシジン):英名Chlorhexidine Hydrochloride(JP),クロルヘキシジングルコン酸塩(グルコン酸クロルヘキシジン):英名Chlorhexidine gluconate,殺菌消毒薬〕国内:発売済 海外:発売済